第50章

それに、彼女が復刻した資料は――実のところ、ノートに残っている内容と微妙に食い違っていた。

ほかの研究資料は若い頃に学んだものをそのまま写しただけ。けれど呪文の部分だけは、復刻している途中で「これ、最初期の版だ」と気づいたのだ。ついでに魔法ノートの呪文欄も、新しい版に差し替えてしまった。

自分の手で書いた契約の巻物も同じだ。あれは直筆なのだから、当然いちばん新しい呪文になっている。

つまり、外に渡した呪文は全部正しい。欠けているのは、研究記録のほう――呪文に関する説明だけ。

なのに今、ノートにその記述がないはずの箇所の効果を、彼女はさらりと言い当てた。

どう考えても、おかしい。

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